高まる起源再調査を求める声 中国大反発「米の狙いは政治化」「他国で調査を」

Laurent Gillieron / Keystone via AP

 新型コロナウイルスは武漢のウイルス研究所から流出したという説は、一時は単なる陰謀論として扱われた。しかし、世界保健機関(WHO)の現地調査への中国の非協力的な対応や、依然として感染を媒介した動物が見つからないことから、研究所流出説を排除すべきではないという声が日増しに高まっている。疑いの目をそらすため、中国は新たな主張で対抗している。

◆テドロス氏も変心 中国に生データ提供を要求
 WHOのテドロス事務局長は、パンデミックと研究所流出説の関連性を否定するのはまだ早いとし、科学者がウイルスの起源を調査するにあたり、中国にさらなる透明性を求めるとした。

 テドロス氏と言えば、パンデミックにおける中国の対応を称賛してきた人物だが、今回は中国に厳しい発言をしている。同氏は、今年初めにウイルスの起源を調査するため中国を訪れた国際チームが生データにアクセスすることは困難だったと述べ、中国に透明性のあるオープンで協力的な情報提供を求めた。さらに、流出説を排除しようとする「時期尚早の後押し」があったとして、流出の可能性は「きわめて低い」としたWHOの3月の報告書自体を否定。真相解明には中国の協力が不可欠で、完全な情報が得られれば、流出説は除外できるはずだと述べた。(AP

Text by 山川 真智子