中国への不信感、豪で高まる 世論調査で明らかに

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 オーストラリアにとって中国は最大の貿易相手国で、両国関係は近年経済を中心に強化されてきた。しかしこのところ、中国の南シナ海における軍事的拡張、香港の民主活動家への弾圧、サイバースパイや豪政府への内政干渉疑惑といったさまざまな問題により、関係は悪化している。中国政府に対して強い不信感を持つオーストラリア人は増加しており、同じ価値観を持たない大国への対応に苦慮している。

◆妥協は不要 豪国民は自国の価値観重視
 オーストラリア人2000人を対象にしたシドニー工科大学(UTS)の調査によると、67%が「中国はオーストラリアの安全保障上の脅威」と答え、63%が政府は中国に対し強硬路線を取ってほしいと回答している(シドニー・モーニング・ヘラルド紙、以下SMH)。

 調査会社Resolve Strategicが1600人を対象に行ったSMHとエイジ紙の調査では、主要な貿易相手国からの報復リスクがあっても「自国の価値観を堅持するべき」と答えた人が62%だった。さらに中国との緊張を緩和するために自国はどうすべきか、という質問に、56%が妥協の必要はないと答えている。

 豪政府がこれまでに中国に取ったアクションにも支持が集まった。香港や台湾への中国のアプローチを批判したことを59%が支持。ウイグルの人権侵害に声を上げたことにも66%が賛成した(SMH)。またUTSの調査では、60%以上が、中国に対する見方がコロナのパンデミックが始まった後により否定的になったとしている(ボイス・オブ・アメリカ)。

Text by 山川 真智子