モンテネグロ、中国への債務返済が困難に EUは肩代わりに難色

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 バルカン半島に位置する小国モンテネグロが、道路建設のため中国から受けた融資の返済ができず、EUに助けを求めている。中国からの巨額融資の返済に行き詰まった国の例はこれまでも報告されているが、「債務の罠」が西バルカン地域でも問題化している。

◆冷たい米欧露 頼りになった中国
 モンテネグロは旧ユーゴスラビアの一部で、2006年にセルビアから独立した。中東欧諸国16ヶ国と中国で構成するグループ「16+1」のなかでは、最も国民一人当たりの所得が低い国の一つだ。ロシアの影響を強く受けてきたが、2017年にNATOに加盟し、2024年にはEU加盟を目指している。

 アドリア海に面する港湾都市バールからセルビアに続く全長165キロの高速道路建設のため、モンテネグロは2014年に中国輸出入銀行から約10億ドル(約1100億円)の融資を受ける契約に署名した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、アメリカやロシアは中東欧地域を安全保障の観点からしか見ていないと指摘する。経済に問題を抱えたこの地域の国々にインフラや金融面でのライフラインを提供するのは中国で、結束力の弱まっているEUからの提案は聞こえてこないとしている。

 融資を受けるほうにすれば、契約や透明性について細かいことを言わず、結果が早く出る選択肢である中国のほうが都合はいい。モンテネグロだけでなく、数ヶ国が中国から多額の借り入れをしている。

Text by 山川 真智子