「中国が6年以内に侵攻」台湾有事と日本の安全保障

071型揚陸艦「長白山」|VanderWolf Images / Shutterstock.com

◆台湾も警戒を強める
 こういった動きに対して、台湾も警戒を強めている。台湾国防部(国防省)は先月、緊張が続く南シナ海において台湾軍の兵士や兵器の配備を強化していく考えを明らかにし、中国が台湾侵攻する可能性は否定できないとして、有事に向けて態勢を整えておく重要性を指摘した。

 中国の人民解放軍は台湾をけん制する動きを続けている。たとえば、去年台湾の国慶日(建国記念日)にあたる10月10日、人民解放軍は中国東南部沿岸の広東省と福建省で、台湾侵攻を想定したとみられる軍事訓練を実施した。また、去年12月には、中国軍空母「山東」が台湾海峡を北から南に向かって通過するなどしており、今後も台湾をけん制する動きを続けることだろう。

◆台湾有事は日本の安全保障と不可分
 台湾有事は日本の安全保障と不可分の関係にある。上述のように、中国は台湾を核心的利益に位置づけており、東シナ海や南シナ海以上に台湾問題を重視する。そして、万が一、中国が尖閣諸島の支配権を確立することになれば、尖閣諸島が台湾統一に向けての最前線拠点になり、中国は尖閣諸島から台湾へ軍事的圧力を強化してくることだろう。当然ながら、これは日本の領土が脅かされることであり、日本の安全保障の問題である。また、経済的には、台湾は日本の生命線であるシーレーン付近にある。台湾周辺で緊張が高まれば、軍事的懸念の前に日本の経済安全保障が脅かされる可能性が高い。台湾有事について、日本は安全保障と経済の両面から真剣に考えていく必要があろう。

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Text by 和田大樹