進む中露のワクチン外交 西側先進国の穴埋める

「スプートニクV」ワクチン|Risto Bozovic / AP Photo

 パンデミックを終わらせる切り札とされている新型コロナワクチン接種だが、ワクチンの供給量が十分ではなく、格差が広がっている。自国の接種優先の西側先進国からの援助に見切りをつけ、中国やロシアのワクチンを求める国も増えており、ワクチン外交による中露の存在感が増している。

◆格差深刻 豊かな国がワクチン独占
 ワクチン接種は現在、90を超える国・地域で開始されている。しかし世界の接種の4分の3以上はわずか10ヶ国が占めており、1度も接種が行われていない国は130ヶ国に上る(ブルームバーグ)。

 世界保健機関(WHO)が主導する、公平なワクチンの分配のための国際的な枠組み「COVAXファシリティ」では、ワクチンを共同購入して途上国などに分配することになっている。日本も含め92ヶ国が参加し、バイデン政権になったアメリカも加入を表明した。歓迎すべき試みではあるものの、今年の目標は参加国の人口の20%をカバーするに留まっており、格差解消には程遠い。WHOは世界的な協力が欠如しているとして、「壊滅的道徳的失敗」と表現している(同上)。

Text by 山川 真智子