ミャンマー軍事クーデター 変わった米国、注目の中国の反応

Aung Shine Oo / AP Photo

 ミャンマーの与党・国民民主連盟(NLD)の報道官は1日、国軍によるクーデターが発生し、ノーベル平和賞も受賞したアウン・サン・スー・チー氏やウィン・ミン大統領など政府高官やNLDの幹部らが拘束されたと発表した。このクーデターの背景には、昨年11月に実施された総選挙の結果があるとみられる。総選挙では、NLDが全476議席のうち396議席を獲得し、国軍系の最大野党である連邦団結発展党(USDP)は33議席に留まり惨敗した。国軍は選挙で不正があったとし、政府・与党に対して再選挙を要求するとともに、1日に召集される予定だった総選挙後初の国会のボイコットを示唆していた。ちなみに、国軍の報道官は1月26日、政府が誠意ある対応を示さなければ、軍事クーデターを否定しない旨の発言をしていた。

◆トランプ政権とバイデン政権の違いも鮮明に
 今回の軍事クーデターに対して、早速バイデン政権は反応した。ホワイトハウスのサキ大統領報道官は、スー・チー氏やウィン・ミン大統領の即時解放を求め、解放されなければ責任者たちに対して行動を取ると対抗措置の可能性を示唆した。また、国軍の行動は民主制度への移行を台無しにするものであり、米国はミャンマー国民の味方であるとも述べた。

 このような大統領報道官の声明を聞くのを筆者は4年ぶりだ。このサキ大統領報道官の声明には、バイデン政権が民主主義や人権問題を重視するという理念が含まれている。トランプ政権は各国の人権問題や政治体制のあり方に興味をほぼ示さなかったことから、改めてホワイトハウスの中身が変わったとの印象を抱く。

Text by 和田大樹