ブレグジット完了から半月 その影響は?
イギリスが欧州連合(EU)から完全に離脱してすでに半月が過ぎた。スーパーの品揃えから企業移転、一国の独立機運まで、どのような影響があるのか。
◆連合王国イギリスに亀裂が?
イギリスは2020年1月31日、ヨーロッパ連合を離脱したが、その移行期間が終了したのは2020年12月31日だ。これによりブレグジットが完了した。イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つのカントリーからなる連合王国だが、ことEU離脱に関しては2016年の国民投票時より意見の違いが目立った。とくにスコットランドと北アイルランドでは、EU残留希望者が過半数を占めていたからだ。そういう事情もあり、スコットランドでは再び独立を求める機運が高まっている。実際、スコットランドのニコラ・スタージョン首相は2日、「スコットランドが独立を獲得しEUに『戻れる』ことを希望する」(フランス・アンフォ、1/12)と述べたし、12月半ばに行われた調査によれば、58%のスコットランド人が独立に賛成だと答えている(スコッツマン紙、2020/12/17)。
北アイルランドに関しては、地理的な事情も大きく関わってくる。北アイルランドは、イングランドやウェールズ、スコットランドが占めるグレートブリテン島にはなく、西隣のアイルランド島の北方に位置するカントリーだ。EUに属するアイルランド共和国は、同じアイルランド島の南方を占めている。フランス・アンフォ(1/12)が指摘するように、「1998年に結ばれた和平合意により、(北アイルランドとアイルランド共和国間に)国境を引くことは不可能」となっている。これに対処するため、ボリス・ジョンソン首相はアイルランド島とグレートブリテン島の間の「アイリッシュ海に国境を置いた」。そのため、ブレグジット後もアイルランド島内では物品の流通が自由なのに、アイルランド島とグレートブリテン島ではそうではない、という現象が起きている。見方を変えれば、ブレグジットは、少なくとも経済的に南北アイルランドを近づけるきっかけとなり、逆に、連合王国4つのカントリーの結びつきは弱まったとも言えそうだ。