2021年の世界情勢のカギとなるものは?

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◆中国と北朝鮮の不気味な動き
 新型コロナが世界中で猛威を振るっているなか、その話題に中国があがることは現在ほとんどない。報道される情報のみでは、中国は平穏を取り戻しているようだが、こういった「欧米など自由民主主義諸国がコロナに襲われ、中国は平穏を取り戻している」という状況は、中国の対外行動における選択の自由、政治的隙が拡大していることを意味する。こういった流れのなか、バイデン政権がどう中国をけん制できるかもポイントだが、今後の中国の出方に注目する必要がある。

 また、北朝鮮の動向も不気味だ。バイデン氏の勝利が決定的になって以降も、それについて反応を示すことなく、沈黙を守り続けている。バイデン新大統領が一般教書演説で何を発言するかを注視しており、それ以降に対米姿勢を示し始める可能性もある。しかし、バイデン新大統領はトランプ氏のように積極的に首脳会談を行ったりすることはないことから、北朝鮮がミサイル発射や核実験など再び瀬戸際的な行動に舵を切る恐れがある。

◆緊張を抱える中東情勢 今年のポイントは6月18日
 そして、もう一つの大きなポイントは対イランを中心とする中東情勢だ。バイデン政権が核合意復帰に進み、イランに歩み寄る姿勢に転じれば、「イスラエル、サウジアラビアVSイラン」の緊張が進む可能性がある。今年の情勢を占ううえでは、6月18日に予定されているイラン大統領選挙が大きなポイントになるだろう。ここでロウハニ大統領の後任が保守強硬派になるのか穏健派になるのかで、その後のバイデン政権との関係、またイスラエルやサウジアラビアとの緊張・対立にも大きな変化が生じてくると思われる。

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Text by 和田大樹