イスラム国指導者死亡から1年 依然として残るISの求心力

Mariam Zuhaib / AP Photo

◆最近では初めてタンザニアでテロを実行か
 そして、ISの中央アフリカ州(ISCAP)を名乗る組織は今月15日、モザンビークとの国境に近いタンザニア南部の村で襲撃テロを実行したとネット上に声明を出した。アフリカでもIS系組織は、マリやブルキナファソ、ニジェール、ナイジェリア、ソマリア、エジプト、リビア、アルジェリア、モザンビークなどで活動しているが、タンザニアで攻撃したと主張するのは今回が初めてとみられる。

 この攻撃における被害規模や実行犯など、はっきりしないことも多いが、近年モザンビーク北部で活動を活発化させるIS系武装勢力と関係があるとみられる。昨年にも、タンザニア南部でモザンビークから越境してきたとみられる武装勢力による攻撃で現地の農民6人が殺害される事件があった。また、同組織には中東出身者は現在のところいない可能性が高いが、モザンビーク人だけでなく、ケニア人、タンザニア人、ウガンダ人などが加わっているとみられる。

その後、タンザニアの治安当局は、テロ事件があったことを公式に認め、モザンビークから越境した300人あまりの戦闘員がタンザニア南部の村キタヤ(Kitaya)を襲撃したと明らかにしている。

 以上のように、ISが組織として弱体化し、世界のメディアを驚かせるような活動ができなくなったことは事実だ。だが、依然としてその求心力が残っておりテロの脅威は続いている。

Text by 和田大樹