イスラエルとアラブ諸国の国交正常化 トランプ大統領の狙い

ホワイトハウスで開かれた国交正常化の合意文書署名式(15日)|Alex Brandon / AP Photo

◆さらなるイラン包囲網の確立
 次に、さらなるイラン包囲網の確立だ。トランプ大統領は就任直後、オバマ政権時に成し遂げられた2015年イラン核合意から一方的に離脱し、経済制裁など対イラン強硬姿勢を貫いてきた。今年初めには、イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官をイラクで殺害し、両国の軍事衝突への緊張が一気に高まった。

 これまでイスラエルと国交があるのはエジプトとヨルダンだったが、UAEとバーレーンが新たに国交を正常化したことで、今後これにほかのアラブ諸国が続く可能性がある。今日、サウジアラビアなどアラブ諸国にとって原油安は大きな悩みで、経済の多角化を進めるうえでは、最先端技術を持つイスラエルとの接近は非常に重要となる。トランプ大統領やイスラエルにとっては、新たな市場を確保できるだけでなく、イランへの警戒心が強いアラブ諸国と接近することで、さらなるイラン包囲網を確立することができる。

 現在、アラブの盟主であるサウジアラビアがどう出てくるかが最も大きな問題である。難しい立ち位置であることは間違いないが、中東での影響力拡大を狙うイランへの警戒心も強く、経済的にイスラエルが魅力的であることは間違いない。サウジアラビアはすでに、UAEとイスラエルを結ぶフライトがサウジアラビア上空を通過することを許可している。仮に、サウジアラビアがイスラエルと国交正常化すれば、トランプ大統領が描くイラン包囲網は決定的なものとなり、「米国(トランプ大統領が勝利できれば)、イスラエル、サウジを中心とするアラブ諸国VSイラン、アサド政権、中国、ロシア」のような対立構図がより鮮明化するかもしれない。

Text by 和田大樹

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