9.11から19年 米国の対中シフトが生むリスク

Mark Moran / The Citizens' Voice via AP

◆米国の対中シフト、テロの脅威を再び高める恐れも
 アルカイダは近年、欧米やイスラエルを攻撃する戦略以上に、アルカイダ系組織が活動する地域で現地住民からの支持を拡大する戦略に転換したともいわれる。

 具体的には、医療支援や食糧供給、雇用の提供などに従事することで住民からの支持を拡大し、そこを活動拠点にするよう努めるようになった。こうみると、アルカイダはこれまでのグローバル・ジハードからローカル・ジハードに転換し、欧米権益がテロの標的になる恐れがなくなったかのように映るかもしれないが、アルカイダは欧米権益を狙わないとする声明は一切発信していない。

 つまり、中長期的には、地域的な地固めを強固なものにした後、再びグローバル・ジハードに回帰する危険性もある。テロ組織に聖域を与える危険性については9.11以降懸念されてきたが、中東やアフリカにおける力の空白は中長期的にはジハーディストに利する可能性が高い。

 こう考えるならば、「米国の対テロからの撤退、対中重視戦略」はテロリストに復活する時間を与え、テロの脅威が再び国際社会で猛威を振るう危険性も排除はできない。

Text by 和田大樹

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