ポスト安倍時代における日米関係の行方

Manuel Balce Ceneta / AP Photo

 安倍首相が辞任することを発表した。すでに次期首相の席をめぐって攻防戦が始まっているが、このおよそ7年8ヶ月を日本国民はどう評価するのであろうか。筆者は外交・安全保障分野を研究しているが、少なくとも安倍政権の時代は非常にバランスが取れ、安定的な日米同盟だったと評価している。おそらく、ポスト安倍になっても変わることはほとんどなく、11月の米大統領選による影響も少ないのではないかと考えている。

◆トランプ脅威論を払拭した安倍首相
 4年前の米大統領選のとき、日本では「トランプ大統領になったら日米同盟は大丈夫か?」と懸念する声が広がっていた。トランプ大統領は国際協調主義を重視するオバマ政権を否定し、アメリカファーストを強調していたことから、日米同盟も軽視されるのではないかとの不安も走った。しかし、安倍首相はゴルフという共通の趣味もフルに活用し、4年間で何回も日米首脳会談を重ね、今ではトランプ大統領にとって最も親しい外交フレンドになっている。おそらく、トランプ大統領も安倍首相が辞任するとのことで、唯一と言える仲が良かった外交フレンドがいなくなることを寂しく思っているかもしれない。

 もちろん、安倍首相がトランプ政権の国際協調主義の軽視、対イラン強硬姿勢、国内の移民・難民政策などを評価したわけでないが、そのなかでも日本の国益を最大限引き出すために戦略的な行動を取り続けた。

Text by 和田大樹