コロナ危機を利用か 中国、南シナ海での動きを活発化
◆相手の隙をつく機会主義、今後エスカレートも
外交政策・安全保障サイト『War on the Rocks』に記事を寄せたアブラハム・デンマーク氏、チャールズ・エデル氏、シッダルタ・モナンダス氏の3人の専門家は、ここ数ヶ月の中国の行動は、新型コロナウイルスをきっかけとした新しいアプローチではなく、以前からの戦略の続きにすぎないと述べる。
そもそも中国の外交政策におけるアプローチは、習近平主席のもと、柔軟性、攻撃的自信、そして中国の国益のために外部の弱さと混乱の機会を利用する並外れた欲求を示すものだと3氏は述べる。これまでの曖昧さを用いた軍事的報復を招かない程度の「グレーゾーン」戦略が有効だと認識しており、相手の出方を見ながら徐々に圧力を強めているという。中国の行動は決して無謀なギャンブルではなく、相手の弱みやチャンスを特定する計画的な戦略で、形勢を見て動きを決める機会主義だとしている。
中国は現在のコロナ危機がチャンスと理解しているはずで、さらに行動をエスカレートさせる可能性もあると3氏は見ている。①断固としたやり方で、領有権を主張する他国を追い出し、現状を変えてしまう、②実行支配を進めている島々に攻撃的軍事資源を投入し、さらなる軍事化を行う、③南シナ海における中国の歴史的権利を主張する情報発信を強化する、④カンボジアなど、中国寄りの国々との協力を強化する、⑤衛生、経済面での援助と引き換えに、コロナ対応に苦しむ国々を取り込む、が考えられるとしている。