コロナ危機を利用か 中国、南シナ海での動きを活発化
中国は、南シナ海の島々の領有権を主張し、人工島を造成して次々と軍事施設建設を行ってきた。実はこの数ヶ月の間、複数の国々とこの海域で衝突を起こしており、世界が新型コロナウイルスで混乱しているうちに、実効支配をさらに強化しようとしているのではないかと危惧されている。
◆コロナ禍を利用? アメリカ警戒
4月初めに中国の沿岸警備船とベトナムの漁船が西沙諸島で衝突事故を起こした。漁船は沈み8人の船員が船外に投げ出されたが、その後中国船側に救助され、ベトナム当局に引き渡されたという。米国務省のモーガン・オータガス報道官は、この事件に「深刻な懸念」を持っていると発言。パンデミックと戦う国際社会のサポートにフォーカスし、自国の領有権拡大のために他国の混乱や脆弱さを利用しないよう中国に求めた(サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙)。
ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、新型コロナウイルス感染が始まった1月以来、民兵を乗せた中国船が南シナ海に定期的に現れ、地域の海洋保安当局といざこざを起こし、漁民に嫌がらせをしていると報じている。ここ数日、中国政府の船がマレーシア国営石油会社ペトロナスの探査船を尾行しており、アメリカは21日に南シナ海の紛争海域にミサイル巡洋艦バンカーヒルと強襲揚陸艦アメリカを展開させている。米中のこう着感が強まり、ライバル争いが激化していると専門家は見ている。