新型肺炎で中国の対日感情に変化? 報じられる日本の支援、SNSなどで反響
♦︎歴史・領土問題を超えて
地理的に近い関係にありながら、日中の間柄はこれまで必ずしも良好なものではなかった。CNNは南京大虐殺や尖閣問題などを理由に挙げたうえで、2013年時点では中国人の92.8%が日本に悪印象を抱いていたと指摘する。しかし安倍内閣の外交政策などにより、2019年には悪印象の割合が52.8%にまで低下した。加えて裕福な中国人が日本に旅行し、実際に日本文化を体験したことで、好印象がさらに拡がっていったとCNNは報じている。
SCMP紙もほぼ同様の見方を示している。日中間には第二次大戦のわだかまりが残ると伝えたうえで、近年では中国からの旅行客が増加していたと振り返る。昨年には中国からの訪問客数が過去最大を記録しており、日中関係は新型コロナ以前からすでに最悪の時期を脱していた。新型ウイルスに関する今回の支援で関係はさらに改善すると海外メディアは見込む。
♦︎対米関係
緊張関係が解消に向かうなか、さらにその動きを加速すると見られるのが対米事情だ。日中ともにトランプ政権と貿易問題を抱えており、これが結束を後押しするのではないかとCNNは予測する。日本としてはやや状況が複雑で、中国が主導する一帯一路構想とは利益が相反するが、中国との商取引は加速したいところだ。さらにアメリカの軍事力による保護も捨て切れない。ともあれ記事は、「忍び寄る不況とコロナウイルスに起因する人種差別的暴行、そしてアウトブレイクよりも速く広まっている悪名を念頭に、中国と日本はいまのところ、両国共通の課題と利益に専念するようだ」と述べ、日中が結束を強めるとの論調だ。
SCMP紙も、両国間の関係改善が今後も進むとの見方を示している。暗い話題が続くが、ウイルス問題で関係がいっそう強化されるとの見方があるようだ。
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