米大統領選と日米同盟の行方 民主党候補勝利なら変化はあるのか?
◆4年間の成果を強調していくトランプ大統領
おそらく、11月が近づくにつれ、トランプ大統領はこの4年間の実績を次々にアピールしていくに違いない。イスラム国の支配地域の崩壊やバグダディ指導者の「殺害」、アルカイダのハムザビンラディン容疑者の「殺害」、イラン革命防衛隊スレイマニ司令官の「殺害」、そして先日のタリバンとの「和平合意」など、たとえば中東情勢においては、成果としてアピールしやすいポイントが多い。自らを絶賛するトランプ大統領の顔を、今後我々は多く目にすることだろう。
◆米大統領選から読み取れる日米同盟の行方
現在のところ、民主党各候補者から、日米同盟やインド・太平洋構想、中国などについて明確なビジョンは聞かれない。だが、トランプ大統領が再選しようが、民主党候補者の誰かが勝利しようが、ブッシュ政権時のような「超大国アメリカ」に回帰しようとする者はいないだろう。そして、「日米同盟における日本の役割増大」を期待する米国の姿は同じだろうと筆者は考える。
トランプ大統領はこの4年間で、COP25やイラン核合意などオバマ政権時に締結した合意からことごとく離脱した。この4年間の政策はオバマ政権の否定だったともいえる。
しかし、両大統領とも、世界の警察官からの撤退、非介入主義という部分では同じ路線で、両者の間には「奇妙な連続性」(慶応大学 中山教授)が見られる。オバマ前大統領は2013年9月、世界の警察官からの撤退を表明したが、トランプ大統領も2018年末のイラク訪問の際、米国は世界の警察官であり続けることはできないとの意思を示している。
仮に、民主党候補者が大統領になれば、米軍駐留費の増額や米国製武器の購入などでトランプ大統領ほど強く迫ってこないかもしれないが、非介入主義、日米同盟における日本の役割増大という部分では大きな変化はないだろう。
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