ファーウェイ事件の報復か 中国によるカナダ人拘束、430日以上に

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◆独裁国家の手口、やられたらやり返す
 コブリグ氏とスペーバー氏は非常に厳しい環境に置かれている。ナショナル・インタレスト誌によれば、家族や弁護士と会うことは許可されず、24時間明かりのついた監房で毎日尋問されているという。月に1度、領事館員が30分の面会に来るのが唯一の外界との接触の機会だ。対照的に、ファーウェイの孟氏は現在保釈されており、バンクーバーの豪邸に滞在し、GPS付きのアンクレットを足に着ける義務はあるが、家族に会い町を自由に移動している。

 ナショナル・インタレスト誌は、2人は孟氏をアメリカに引き渡さないようにするための人質だとする。濡れ衣を着せて外国人を拘束するのは中国の常套手段だとし、5年前カナダ人宣教師たちが同様の理由で逮捕されたこと、10月に日本人大学教授が中国の法を犯したとして逮捕されたことを上げている。また過去4年間に、あと13人の日本人がスパイ行為で捕まったと推測している。

 このように法の支配を無視して勝手に外国人を拘束するのは、ロシア、北朝鮮、イランなどの独裁国家だと同誌は述べる。アメリカが12月にプリンストン大学の博士課程の学生とイランの科学者を交換したこともあり、これがコブリグ氏とスペーバー氏を孟氏のケースに利用できるという期待を中国に与えることは間違いないと指摘。今後も有名な中国人が海外で逮捕されれば、同様のサイクルは続くだろうとしている。

◆米中の板挟み? 人権最優先で苦渋の決断も
 カナダのグローバル・ニュースによれば、中国外交部の報道官が両氏のケースは検察に送られたと12月に述べており、裁判が始まる可能性を示唆している。過去のケースでは裁判は密室で行われ、有罪判決はほぼ確実だという。ナショナル・インタレスト誌によれば、国家機密窃取の罪では、死刑もありえるという。

 国際戦略問題研究所のマーク・フィッツパトリック氏はカナダのグローブ・アンド・メール紙で、孟氏を解放し、交換でコブリグ氏とスペーバー氏を救出せよと主張している。同氏は、どんな政府でも最優先課題は市民の自由でなければならず、カナダ政府は2人の釈放にどんな努力も惜しんではならないとする。

 そもそも中国は、孟氏はトランプ氏のための人質と捉えており、孟氏が解放されなければ2人の解放があるはずはない。中国のいじめや脅迫に屈しないという原則を守っても2人は帰ってこないし、中国に厳しくし、アジアインフラ投資銀行脱退、台湾との連携強化などの策を打ち出しても、相手を怖がらせることはできないだろうとする。

 孟子を解放することはアメリカを怒らせることになるが、アメリカが作り出した騒動のために、これ以上カナダ国民を犠牲にするのは許されないとフィッツパトリック氏は述べる。そして原則を守り無実のカナダ人を牢獄に閉じ込めておくことと、どんなに不愉快でも2人を助けるために何でもするという2つの選択肢のどちらがよりましなのかと問いかけている。

Text by 山川 真智子

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