台湾総統選:過去最多800万票の意味、中台関係の行方

Chiang Ying-ying / AP Photo

 台湾では1月11日、4年に1度の総統選挙が行われ、現職である民主進歩党の蔡英文総統が歴代最多となる800万票以上を獲得し、親中路線の野党、中国国民党の韓国瑜氏に圧勝した。

 総統選に勝利した蔡英文氏は、独立した台湾の立場を強調し、中国は台湾を尊重するべきだと改めてけん制した。一方、中国は、一つの中国の原則は変わらないと既存の立場を貫き、今後も中台間では摩擦が続きそうだ。

◆800万票以上を獲得した意味
 今回の総統選で筆者が注目したのは、その獲得票数だ。今回、蔡英文総統は歴代最多となる民意を獲得したわけだが、それには昨年6月以降続く香港情勢が強く影響していると思われる。

 今年には入っても香港では、数千人、数万人規模とも言われる抗議デモが毎週のように起きているが、これまでの激しい衝突や破壊行為は、台湾の人々に決して対岸の火事ではないという強い印象を与えた。もしくは、香港の次は台湾だという強い危機感を与えたことだろう。現に、香港では台湾への移住を考える人々も増加し、台湾でも香港の市民を応援する人々の姿も見られた。蔡英文総統の獲得票数は、そういった台湾人の香港への一体感と危機感の表れだと考えられる。

Text by 和田大樹