日中韓首脳会合と2020年の東アジア

Wang Zhao / Pool Photo via AP

◆中国を中心とする東アジア?
 また、今回の3ヶ国会合では中国のある姿も印象的だった。21世紀以降、中国のGDPは右肩上がりで、2010年前には日本を抜き、その差は広がるばかりで、いまは米国に迫ろうとしている。一時、日本は何年中国と対等でいられるのか、という議論も耳にしたが、すでに中国の経済力はアジアで突出している。

 日本では防衛・安全保障業界を中心に、いかに中国に対峙するか、いかに中国の海洋進出に対応するかといった議論が多く聞かれる。当然ながら、これがきわめて重要なのは言うまでもないが、今日第三国からみると、中国が中心にあり、その左手に日本、その右手に韓国(その反対でもいい)があるというイメージが強いのではないだろうか。24日の日中韓ビジネスサミットでも、李克強氏を中心に、李克強氏の左側に安倍首相、右側に文在寅大統領が座っている写真があったが、現在の東アジアの国力関係を如実に表しているように見えた。

◆2020年の東アジア 
 東アジア情勢において、2017年と2018年に最大変数となったのはトランプ大統領だったが、2019年は文在寅政権だった。それによって、日韓関係だけでなく、GSOMIAを理由に米韓関係にも大きな亀裂が生じた。また、米朝関係も再び陰りが見え始め、明るい兆しは見えなくなってしまった。こういった情勢も影響して、今年も米中を中心にこの地域では外交的な駆け引き合戦が続くことだろう。何か大きな軍事的衝突が生じるとは思わないが、11月の米大統領選挙も影響して、去年以上に外交的な駆け引きは激しくなるのではないだろうか。

Text by 和田大樹