技術革新と戦争(2) 求められる国家の倫理観
前回の論考の続きとなるが、サイバー空間や宇宙が新たな戦略空間となるなか、SNSやドローン、3DプリンタやAIなど、技術革新は速いスピードで進化し続けている。そして、技術革新を駆使する防衛産業の競争も世界で激しくなり、大国はいかに先端技術で安全保障・防衛の領域で主導権を握るかで日々競い合っている。
◆技術革新の領域で影響力を高める中国
そのような今日、中国は技術革新の領域で影響力を高めている。近年、米国は軍事・安全保障に関わる機密情報が盗まれる恐れがあるとして、中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の世界的展開に警戒心を強め、各国にファーウェイ製品を買わないよう圧力をかけている。
また、今年1月、中国の無人月探査機「嫦娥(じょうが)4号」が、米国やロシアも達していない月の裏側へ着陸し、搭載していた無人月面探査車「玉兔(ぎょくと)2号」を発進させることに成功した。中国は、次世代型宇宙船も来年飛行させる計画で、トランプ大統領が宇宙軍の創設を発表するなど、宇宙技術をめぐる大国間競争も激しくなっている。
さらに、中国は軍事用ドローンや高性能監視システムの開発・輸出を急速に強化している。中国はドローンの輸出規制に関する国際的な枠組みに入っていないが、安価で高性能な軍事用ドローンを大量に開発し、サウジアラビアやUAE、イラク、パキスタン、ミャンマーなどに輸出している。そして、新疆ウイグル自治区ではイスラム教徒住民の監視を強化するため、高性能監視カメラなどを同地区にはりめぐらせ、同じようなイスラム過激派の問題を抱える国々(サウジアラビア、エジプト、パキスタン、アルジェリアなど)へ高性能監視カメラを積極的に輸出しようとしている。
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