マッハ5超巡航ミサイル「ハクソー」、米空軍が開発に注力 22年までに配備へ
◆無人試験機X-51Aの功績
ハクソーの開発を影で支えるのが、アメリカが過去に開発した極超音速試験機X-51Aの存在だ。ミリタリー・ドット・コムは、X-51Aの開発プロジェクトを紹介している。ウェーブライダーの愛称で呼ばれる同機は、炭化水素燃料とスクラムジェットエンジンを搭載する。これにより、通常のターボジェットエンジンならば機能不全に陥ってしまう極超音速での飛行が可能となった。この無人試験機の開発を通じて、エアロジェット・ロケットダイン社は高速飛行時の物理的特性についてノウハウを蓄積している。超音速飛行では環境条件が通常時と大きく異なるため、「物理法則を手なずける」ために同社の貢献が必要になったという。
なお、X-51A試験機は2013年に6分間の飛行を行い、最高速度マッハ5.1を記録した実績を持つ。その設計上、自力で離陸することはなく、他機に搭載して高高度で切り離す運用だ。ポピュラー・メカニクスでは、戦略爆撃機B-52トラトフォートレスがキャリアの役目を果たしたと紹介している。すでに極超音速飛行の実績を持つエアロジェット・ロケットダイン社の参加により、ハクソーの開発は加速するものと見られる。
◆中露への優位性意識
こうした熱心なミサイル開発の背後には、中国およびロシアの脅威が見え隠れする。ロシアは昨年12月、プーチン大統領の主張する「アメリカのあらゆるミサイル防衛網を突破できるマッハ20の巡航ミサイル」を発表したものの、アメリカ側の専門家は、実際の能力は大幅に劣るものと見ている。気になるのは中国の存在だ。通常弾頭搭載型打撃ミサイルの性能を確実に向上してきており、数千キロの射程と超音速の飛翔速度を備える。
このような背景からアメリカは、超音速巡航ミサイルの開発を急いでいる。その開発体制は大掛かりなもので、陸海空軍を横断したプロジェクトが展開されている。ポピュラー・メカニクス誌によると米軍は、3年後の2022年までにハクソーの発射準備を整えたい意向だ。巡航ミサイルの高速化競争はますます加速することだろう。
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