脅した中国、屈したNBAに米国で批判 ロケッツ騒動に見る中国ビジネスの難しさ

上海でのNBAファンイベントが中止に|AP Photo

 NBAヒューストン・ロケッツのゼネラルマネージャー、ダリル・モリー氏の香港の抗議デモを支持するツイートがきっかけで、同チームが中国でボイコットされる事態になっている。チームオーナーとNBAはともに中国の怒りを収めようと必死だが、アメリカ国内では言論の自由よりビジネスを取ったNBAに対する批判が高まっている。

◆オール中国で報復? NBAを翻弄
 モリー氏が、「自由のために戦おう、香港を支持しよう」とツイートしたのは10月4日の夜だ。数時間後に削除されたが、これが中国政府と市民の怒りに触れてしまった。ロケッツのオーナー、ティルマン・フェルティッタ氏はすぐに、モリー氏のツイートはチームの見解ではないと釈明したが、中国側の怒りは収まらなかった。

 中国メディアはモリー氏を批判し、国営テレビのスポーツチャンネルはロケッツの試合を放映しないと発表。中国でのNBAのデジタル放映権を持つ企業、テンセントもロケッツのストリーミングをやめると発表し、スポンサーだった中国企業も手を引いた。さらに元ロケッツのスター選手だった姚明氏が会長を務める中国バスケットボール協会も、今後はロケッツとの協力をやめると発表しており、国をあげてのロケッツ外しが行われている。

 NBAは、英語と中国語でコメントを発表した。英語では、中国の懸念と「自分にとって重要な問題について独自に学びその意見を共有する個人」へのサポートのどちらも支持すると表明。しかし中国語のものは、「ゼネラル・マネージャーによる不適切なコメントは非常に残念」で始まる別の声明に変わっていた。6日の夜には、モリー氏自身が自己の発言を再考するコメントを出し、中国に従順な姿勢を示している(ウォール・ストリート・ジャーナル紙、以下WSJ)。

Text by 山川 真智子