韓国のGSOMIA破棄、「従中・親北」の終点 日本にとって最悪のシナリオとは

Kim Kyung-Hoon / Pool Photo via AP, File

 先週の論考の続きとなるが、文在寅政権が日韓GSOMIAの破棄を決定したことは、日米両国に大きな衝撃を与えた。本来、日韓の歴史・政治問題とGSOMIAは別次元の問題で明確に分けて考える必要があるが、日韓の争いが過熱して禁断の領域にまで踏み込んだ形となった。当然ながら、日韓関係の悪化によって安全保障体制にヒビが入ることを強く懸念する米国は、韓国に強い不満を示し、米韓関係の先行きが極めて懸念される。

◆韓国の「従中・親北路線」
 文在寅政権の行動は、筆者に一つのシナリオを想像させる。同政権内では、在韓米軍の撤退も視野にあるとされる。GSOMIA破棄も大きな衝撃を与えたが、仮に、在韓米軍の撤退が進むとすれば、これは日本周辺の安全保障環境は大きく変化する恐れがある。文在寅政権(その後の同じ路線の政権)が「従中・親北路線(中国に従い、北との宥和を進める)」を取り、「中韓朝」同盟のような形が構築されるのであれば、日本の安全保障はきわめて厳しい状況に陥る。

Text by 和田大樹