再燃するギリシャのドイツへの戦後賠償要求 「解決済み」は不当と主張

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◆緊縮に不満 歴史の政治利用か?
 インデペンデント紙は、ギリシャの賠償請求は緊縮政策を強いたドイツへの仕返しの意味があると見ている。同紙は、そもそもギリシャ危機を招いたのは脱税を放置したり負債額をごまかしたりしたギリシャ自身の失敗だと断じる。2007年の世界金融危機もドイツが起こしたものではなく、本来責めるべきは銀行家だとし、過去と折り合いをつけ未来へ進もうとするドイツから金を搾り取ることは正しくないのではないかとしている。

 現在ギリシャだけでなくポーランドもドイツに賠償請求をしているが、こういった試みは長期的には失敗するだろうと同紙は見る。それでも、歴史を国内政治に利用しようとする政治家にチャンスを与え続けてしまうこと、そしてそれが欧州を分断してしまうことに懸念を示し、そろそろ第二次大戦という過去の話は終わりにすべきだとしている。

◆融通が利かない? 一人勝ちドイツにも非あり
 一方、前出のバーシドスキー氏は、ギリシャやポーランドに同情的だ。東欧諸国はドイツが多くを負担するEUの援助から利益を得ていることは確かだし、ギリシャが財政政策に失敗したのも事実だが、ドイツはもう少し自国より貧しい国々に利他主義を示してもよいのではないかとする。

 ニュー・リパブリック誌によれば、ドイツは南欧の世論調査では常に好感度が低い。南欧諸国はドイツの厳しい緊縮財政政策に反対で、ドイツがEU内で持つ過度な決定権にも繰り返し懸念を表明している。

 バーシドスキー氏も、現在EUの成功のための責任を一手に引き受けているのはドイツだが、域内では公平な富の分配が行われていないと考える。ドイツがもう少し財政に柔軟になれば連帯が生まれ、それがEUとユーロ圏をより強くすることにもつながる。そうなれば賠償の要求も消えていくのではないかとしている。

Text by 山川 真智子