再燃するギリシャのドイツへの戦後賠償要求 「解決済み」は不当と主張

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 ギリシャ議会はツィプラス前政権下の今年4月に、第二次世界大戦中にナチス・ドイツから受けた損害に対する賠償をドイツ政府に正式に要求することを可決した。その後、7月の総選挙で新政権が誕生。ミツォタスキ新首相は8月にドイツのメルケル首相との初会談を行い、会見で賠償問題の進展を期待するとメディアに述べた。戦後補償の問題が再燃している。

◆解決済みは不当 再度賠償要求
 ギリシャがドイツに戦後賠償を求める動きは2012年からしばしば起きていたが、本格的になったのはツィプラス前政権のときだ。ギリシャは2010年に財政危機に陥り、IMFやユーロ圏から金融支援を受けることになった。その後ドイツが求めた緊縮財政政策に不満を持つ、急進左派連合(SYRIZA)を率いるツィプラス氏が首相となり、ギリシャの債務を減らし、ドイツから正義を勝ち取ると主張し支持を得ていた。賠償請求も、2015年からツィプラス氏の選挙公約となっていた。

 しかし、近年では債務問題、また難民問題のためドイツと協力する必要があり、ツィプラス氏は賠償請求を封印していたと欧州ニュースサイト『The Local』は述べる。今年になって賠償の話が復活したのは、7月の選挙前で劣勢にあった急進左派連合が選挙対策に利用したためだと、ブルームバーグのコラムニスト、レオニド・バーシドスキー氏は見ている。

 ギリシャは枢軸国による侵略の被害は、約3000億ユーロ(約38兆円)と試算。4月に議会で超党派の支持を得て賠償請求の決議案が承認されているため、新政権も引き続きドイツに賠償を求めていくと思われる。ドイツはすでに1960年に今後一切の請求を受け付けないことを前提に、ギリシャに1億1500万マルクを支払っており、賠償問題は解決済みとしている。これに対しギリシャ側は、諸々の被害をカバーするには妥当な額ではなかったと反論している。

Text by 山川 真智子