中国がハイテク気球でインドを偵察か 印メディアが衛星写真で暴露
インドのニュースサイト『ザ・プリント』が6月18日に伝えたところによると、中国軍はインドとの国境の中国側チベット地域でインド軍を偵察するために新型の気球(飛行船)を運用しているという。気球に搭載されたレーダーを使ってインド軍を偵察しているとみられ、テザー気球レーダーシステム(TARS)とも、エアロスタットとも呼ばれる。このエアロスタットに中国が興味を示したのは1990年代とされるが、中国が実際にロシアのアウグスロスエアロ社から3つの気球を調達したのは2010〜2011年になってからのことだという。この3つの「ピューマ」エアロサットシステムは早期警戒レーダーステーションを伴うように設計され、5000メートル上空に打ち上げることができる。
◆チベットで運用される飛行船
『ザ・プリント』は、「ピューマ」が3カ所で運用され、そのうちの1つが5キロ上空に打ち上げられている様子を写した衛星写真を掲載した。少なくとも中国国内では6ヶ所でエアロサットが運用されていることが確認されており、うち湖北省荊門とモンゴル自治区阿拉善の2ヶ所ではテスト運用される様子が衛星写真に写っている。
それ以外の2ヶ所はインドとの国境に近いチベット自治区のニンティとナムツオで、ニンティで運用されているものについては、中国科学技術協会(CAST)が飛行船のテストを実施したことを明らかにしたことがある。ニンティは高度や位置といったその土地柄から開けた視界であるためレーダー監視を可能にしており、インド側の軍事動向の監視を拡充している。2017年のドクラムでの対峙でニンティの飛行船が中国空軍や地上部隊に情報を提供したとみられる。
ナムツオ付近で運用されている飛行船もインドの動向を監視していると思われるが、これは青海省科技庁所属のCA -38Rとみられており、遠隔操作や2人の乗員による操作が可能だという。2019年の5月20日から30日にかけて夜間のテスト作業が行われ、高度7000メートルの飛行記録を打ち立てている。ただニンティとナムツオの飛行船はすでに壊された模様だが、修理や改修が施されているのかもしれない。
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