仏独西の次世代戦闘機、モックアップ公開 戦闘機の枠を超えた「システム」の一翼に

Benoit Tessier / Pool via AP

◆国際的な優位性示せるか
 ステルス機といえばアメリカのF-35の存在感が大きいが、仏独西はいずれもその国際プログラムに参加していない。トランプ米大統領がNATOおよびEUから距離を置く姿勢は明らかで、不安定な情勢のなかで欧州諸国は独自のステルス機を求めている、とユーロニュースは開発の背景を解く。ヨーロッパにおける戦闘機開発をめぐっては、仏英が共同開発に動くのではないかと以前から報じられていた。しかし、ブレグジットの余波を受け中止になったものと見られ、イギリスは2018年になってテンペスト戦闘機の独自開発を発表している。

 スペインの参画で勢いがついたFCAS開発だが、アメリカと中国に水をあけられる可能性がある、とAFP通信は懸念する。中国は軍事力の強化に躍起で、アメリカでもトランプ政権が軍事予算の強化に熱心だ。欧州の防衛予算は両国の後塵を拝している、と記事は指摘する。アメリカが今年7000億ドルの防衛予算を組み、中国が昨年2500億ドルを防衛費に投じたのに対し、昨年ヨーロッパでは独・仏・英・伊・西の5ヶ国合計で2000億ドル規模の予算枠に留まっている。開発企業の体力にも差が目立ち、本業で稼ぐキャッシュフローを比較すると、仏エアバスは米ボーイングのおよそ3分の1に過ぎない。

 スペインの参加で前進したFCASプログラムだが、米中との差を埋められるかは、今後の予算次第といったところだ。

Text by 青葉やまと