香港デモ、蔡総統に追い風に 台湾で中国への不信感高まる
台湾では来年1月に総統選が行われる。現職の蔡英文総統は、民進党の予備選で公認を勝ち取り、2期目を目指すことになった。「一つの中国」を拒絶する蔡総統の支持が、香港で行われたデモをきっかけに高まっており、現実を知った台湾人の「一国二制度」への不信が明らかとなった。
◆民主的社会でも、国家と認められない悲しさ
中国は台湾を「核心的利益」と位置づけ、主権と領土の保全を主張しているが、台湾は過去70年にわたり事実上の自治を行っている民主的な社会だ。しかし、「一つの中国」を主張する中国は、しばしば軍事侵攻や政治的独立の終焉をちらつかせてきた。
中国は毎年台湾に対する攻撃的な軍事力を増強している。また、台湾と国交のある数少ない国々を狙い撃ちし、中国に鞍替えさせている。台湾総統は公式に国交のないアメリカ訪問はできないし、国として認められない台湾はしばしば他国や経済圏との貿易協定を結ぶこともできない。WHOのような多国間の枠組み参加も中国に阻まれている。こういった状況に対して台湾は抗議し、問題解決を図ろうとしているが、アメリカは中国を強く刺激するのを恐れて手を出せずにいる(ナショナル・インタレスト誌)。
台湾のリーダーたちは、中国の報復を恐れて独立を宣言することには慎重だった。国民のほとんどは統一に反対だが、現在の中国の軍事、経済力を考えれば、大陸に飲み込まれると考える人が多いという(Web誌『Slate』)。
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