F-35大量購入、地域のパワーバランスへの影響は?「中国と日米豪印」から見た意味

U.S. Air Force photo by Master Sgt. Donald R. Allen / Wikimedia Commons

◆艦載機型の広範な運用も視野に
 上記のように、日本のF-35大量購入にはアメリカの意向が強く反映されているのは間違いない。米誌『ビジネス・インサイダー』は、チャールズ・ブラウン米太平洋空軍司令官がブルームバーグに「中国のJ-20に対抗するには、F-35の配備を拡大するしかない」という主旨の発言をしたことを根拠に、F-35がアジア太平洋地域の安全保障戦略のキープレイヤーになっていると見る。

 ブラウン司令官は、時事通信に向けても、米軍や同盟国がアジア太平洋地域に展開するF-35が2025年には200機を超えると語っている。これを目安にすれば、自衛隊だけでその多くを担うことになりそうだ。同司令官はJ-20の脅威をF-35によって「押し戻さなければ、(脅威は)迫り続ける」とも警告している。

 F-35のバリエーションには、短距離離陸・垂直着陸ができる艦載機タイプのF-35Bがあり、日本の既存のヘリコプター搭載護衛艦の改造による空母保有計画は、このF-35Bの運用が前提となっている。アメリカでも同様に強襲揚陸艦をF-35B搭載の軽空母に改装する計画がある。また、より本格的な艦載機タイプであるF-35Cを搭載する大型空母の開発も進んでいる。このように、海の防衛が重要な位置を占めるアジア太平洋地域では、とくにF-35の活躍の場が多くなってくるのは間違いない。

Text by 内村 浩介