ロシア唯一の空母「アドミラル・クズネツォフ」廃艦か 浮きドック沈没、改修できず

Ministry of Defence / Wikimedia Commons

◆囁かれるスクラップ説
 難航する改修作業の状況から、空母自体を解体するのではとの観測が広がっている。タイムズ紙は「1985年建造の老朽化した空母を修理する意義が少しでもあるかをめぐっては、複数の疑問がある」と指摘している。軍部関係者も現地紙に対し、修理の妥当性を疑問視する見方があることを認めているようだ。修理に費用を投じるくらいであれば、フリーゲート艦二隻と原子力潜水艦を新造するほうが効果が高い、と情報筋は述べている。

 そもそもアドミラル・クズネツォフはトラブル続きであった。米軍事情報サイト『War Is Boring』は2016年、同艦への着艦を試みた戦闘機2機が相次いで墜落したと伝えている。この年の11月14日、MiG-29KUBR戦闘機が着艦に失敗し、海上に墜落した。急減速に使われる甲板上のアレスティング・ワイヤーのうち一本がほかのワイヤーに絡まり、機能しなかったことが原因とされている。さらには同年12月5日、Su-33戦闘機の帰艦時に同ワイヤーが破断し、同じく墜落している。

 トラブル続きの空母はスクラップの岐路に立たされており、ロシア唯一の空母が失われる可能性も現実味を帯びてきた。

Text by 青葉やまと