中国によるギリシャの港開発に思わぬ「待った」 古代からの要衝の問題

Milan Gonda / Shutterstock.com

 債務危機に陥ったギリシャは2016年に、中国の国有企業、中国遠洋海運集団(コスコ)に同国最大の港、ピレウス港を運営する港湾会社の株式67%を売却する契約を結んだ。中国はピレウス港を大々的に再開発する計画を打ち出したが、ギリシャの考古学評議会が、港とその周辺は遺跡の一部だと主張し、計画の見直しを命じている。

◆債務圧縮で売り出されたピレウス港 中国資本で好調
 コスコは2008年にピレウス港の2号、3号コンテナふ頭を35年リース契約で獲得しており、2010年から正式に運営し、アジア欧州間の貨物の積み替えハブとして利用してきた。2016年には、まず51%の株式を取得し、ピレウス港の管理、整備、開発を行う権利を得ている。2017年に買収したスペインのバレンシア港とともに、中国が提唱するグローバルなインフラプロジェクトである一帯一路計画で、主要な役割を果たすことが期待されている。

 ピレウス港を管理運営するピレウス・ポート・オーソリティの2018年の税引き前利益は2017年の倍となり、純利益は2017年から147%増加した。クルーズ船の来航、船舶修理ビジネスも成長しており、経営は成功している。施設使用料として、ギリシャ政府に納められる額は、480万ユーロ(約6億円)ということだ(Greek Reporter)。

Text by 山川 真智子