イタリアの「一帯一路」参加が示す2つの意味 好機を手にする中国

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 中国の習近平主席は3月下旬、イタリア・ローマを訪問し、コンテ首相と会談した。その際、両者は一帯一路構想に関する覚書を交わし、イタリアが一帯一路に参加することが明らかとなった。近年、中国が進める一帯一路構想に参加する国々は増加しているが、今回のイタリアの参加表明はこれまでとは少し意味が違う。イタリアの一帯一路参加は、少なくとも2つの意味がある。

◆EU13ヶ国目となるイタリア
 EU加盟国28ヶ国のうち、すでにギリシャやポルトガル、クロアチアやポーランド、チェコなど12ヶ国が中国との間で同覚書を交わしているが、イタリアはEUでは13番目の国となった。イタリアは欧州でも若者の失業率が高く、長年国内経済が低迷している。コンテ首相としては、これを機に国内経済を再生したいという狙いがあり、今後、イタリア北部の湾岸施設の建設、再開発などを中国企業が主導していくことになる。

 一方、イタリアの参加によって、中国は地中海貿易の活性化という意味で大きな可能性を得た。上述の通り、ポルトガルとクロアチア、ギリシャはすでに一帯一路構想に参加しているが、スエズ運河と大西洋のほぼ中間に位置する海洋国家イタリアを得たことは極めて価値がある。また、北アフリカのアルジェリアも2018年9月に同構想への参加を表明しており、北アフリカのすぐ先に位置するイタリアの獲得を北京主導者たちも満足しているに違いない。

Text by 和田大樹