イタリアに伸びる「新シルクロード」 ベルト上で中国が抱える問題

Giuseppe Lami / ANSA Via AP

 中国の習近平国家主席は先月23日、イタリア・ローマでコンテ首相と会談し、イタリアと一帯一路構想に関する覚書を交わした。すでにEU28ヶ国のうち12ヶ国が中国との間で同覚書を交わしているが、G7では初となり、同じG7の米国やフランスなどからは懸念の声が出ている。コンテ首相には、これを機に長年低迷する国内経済を再生したい狙いがある。今後、イタリア北部の湾岸施設の建設、再開発などを中国企業が主導していくことになる。

 北京が描くシルクロード経済ベルトは、中国西部から中央アジアや中東を通り、欧州へ繋がる構想だ。今回、習近平氏はイタリアと覚書を交わしたが、初めてG7の領域にメスを入れたということで、政治的に大きな自信を得たかもしれない。これを機に、G7の切り崩しにかかるのだろうか。

 しかし、シルクロード経済ベルトの終着点を切り崩せても、そればかりには集中できない。その通過点となるベルト上からは、抵抗や反発など難題が表面化している。

                                                                                                                 

◆中央アジア・キルギスから聞こえる抵抗と反発
 近年、中央アジアの玄関口となるキルギスでは、影響力を高める中国への抵抗と反発が強くなっている。たとえば、今年1月17日、首都ビシュケクで中国に抗議する数百人規模のデモが発生し、若者ら21人が警察に逮捕された。経済的に貧しいキルギスでは、インフラ整備を進めようとする中国の進出が顕著になっているが、それに反発する地元民の声が高まっている。

 また、2016年8月30日には、ビシケクにある中国大使館の敷地内で車が突如爆発し、3人が負傷する事件があった。自動車を運転していた男は死亡したが、門を破って大使館内に突入し、そこで爆破する意図があったとみられている。地元当局は、これをテロ事件と断定している。さらには、同国南部ジャララバード州では2018年4月11日、同州で操業する中国企業が数千人の現地住民に襲撃され、建物が破壊、放火される事件が発生した。事件の発端は、金鉱開発を行う中国企業が有害物質を流し、周辺環境を汚染したことだとされる。

Text by 和田大樹