中国に働きかける米国、ロシアに接近する北朝鮮 首脳会談から1ヶ月

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◆中国へ働きかける米国
 また、25日、米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が24日から北京を訪問していることが明らかとなった。第2回会談の結果と今後の動向などをめぐって中国外交筋と議論すると思われるが、米国としては中国の対北戦略や思惑を知った上でも、中国を対北包囲網に接近させたい狙いはある。

 北朝鮮は米中の狭間的な緩衝国家として位置し、北京は米国の影響力が中朝国境にまで接近するというシナリオを回避したい。よって、北朝鮮が緩衝的役割を担えるよう政治経済的に支援する必要があるが、北朝鮮が自爆的な行動をとり、核実験による環境的被害、また難民の押し寄せも避けたいはずだ。中国からすると、北朝鮮は非常に小さな国だが、難しい舵取りが必要な相手であり、北朝鮮はそれを上手く利用している。そのようななか、今回のビーガン北朝鮮担当特別代表の北京訪問を含め、中国が今後どのような対応を見せるかも注視する必要がある。

◆ロシアへの接近
 また、金正恩氏の側近であるキム・チャンソン国務委員会部長が19日から23日までロシアのモスクワを訪問していたことが明らかとなった。一部報道によると、プーチン大統領との首脳会談の準備のため訪露していたとされる。現在のような情勢であるならば、北朝鮮としては利害関係国を揺さぶる意味でも、ロシアは必要な外交カードだろう。米国に対して次の一手を自らに有利な形で出しにくい現状ならば、今日の米露関係やロシアの政治的な立ち位置を考慮して、ロシア接近というオプションに打って出る価値はある。

◆依然として見えない利害関係国の協力・協調の精神
 第2回会談後、以上のように関係各国は新たな行動に出ている。しかし、依然として利害関係国間で協力・協調の精神というものは見えない。第2回会談で、米国の妥協しない姿勢は確認できたが、今後の情勢は依然として不透明だ。北朝鮮の脅威についても、関係各国によって認識が大きく異なる。

Text by 和田大樹