英、空母「クイーン・エリザベス」太平洋に派遣へ 中国反発、財務相訪中が中止に

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◆最悪のタイミングでの発表により財務相訪中が中止
 一方、EUを離脱すれば、これまで主要貿易相手だったEUとの取引が減り、一時的な景気後退期が訪れることが予測される。メイ政権はその打開策として、新たな貿易ルートを開発するとしているが、その最大のターゲットは中国だ。

 その一環として、公式発表はされていなかったものの、ハモンド財務相が今週、化粧品と鶏肉の100億ポンド規模の貿易協定を結ぶために訪中する予定だったと言われている。これが、国防相の空母派遣発言でドタキャンになったと複数の英メディアが報道。会談予定だった中国側の胡春華副首相が、空母派遣に反発して会談を拒否したとされる。今回の国防相発言に対し、中国大使から英外務省に抗議があったとも報じられている。

 英中のトップ級会談は、アルビオンの南シナ海派遣以降、行われていない。今回の財務相訪中は関係修復のためにも重要だったはずで、英政府内では、ウィリアムソン氏の発言は最悪のタイミングだったと批判も多いようだ。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によれば、「バカげたスピーチだった」と語る政府関係者もおり、首相官邸と財務相は「怒り心頭」だという。

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Text by 内村 浩介