インド、仏ラファール戦闘機購入に汚職疑惑 モディ政権で価格上昇、不透明な契約

Ajit Solanki / AP Photo

◆汚職を匂わせる「政治的介入」も
 こうした経緯を詳報しているドイツメディアのドイチェ・ヴェレは、ラファールの契約に伴う汚職が反対勢力に突かれ、モディ首相にダメージを与えつつあると報じている。また、今年5月に総選挙を控え、野党が現政権の攻撃材料にラファール問題を利用しているという指摘もある。

 インドメディアも、ラファールを巡る話題でもちきりだ。直近では、日刊英字紙ヒンドゥーが、2月8日付で、ラファールの契約では、通常の防衛調達手続(DPP)の手順が踏まれていないと指摘。これは、調達した兵器が不適切な勢力や不適切な企業利益に利用された場合のペナルティを定めるものだが、同紙は、インド側の「ハイレベルな政治的介入」により、DPPが結ばれなかったとしている。

 さらに、2月13日には、政府の支出を監視するインド国内の大手監査法人が、ラファールの契約に関し、モディ政権の不透明な支出を報告書で指摘した。ちなみに、これ以前に、野党はインド政府とダッソーとの間で贈収賄の疑いがあるとして最高裁に調査を嘆願。そのとき最高裁は「契約プロセスに疑わしい点はなかった」と結論づけたが、今回の報道により汚職疑惑が再燃した形だ。

 アラブ首長国連邦(UAE)の英字紙ガルフ・ニュースは、ラファール契約の議論の的になっている要因は、「高額な価格設定」「当局の不正」「縁故主義」「標準的な調達ルールの軽視」であるとまとめている。また、国民目線では、割高で不透明な契約は「インド国民にとって非常に不利益なものだ」と指摘されている。

Text by 内村 浩介