中国領事館への襲撃も 一帯一路への反発と抵抗(1)−パキスタン−

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◆BLAが中国を狙う背景
 BLAはなぜ、このように中国権益を狙うのだろうか。それには、バルチスタンという地域特有の状況を理解する必要がある。簡単に説明すると、バルチスタンは鉄鉱石や石炭、天然ガスなど資源が豊富であるにもかかわらず、失業率や貧困率がパキスタンでも最悪のレベルで、その恩恵が現地のバルチ人などに還元されることは殆どない状況にあるという。

 バルチスタンで採れる資源は中央政府がコントロールし、経済発展のため外国企業との間で売買取引されており、それがBLAの怒りの根源にある。要はBLAからすると、中国はイスラマバードと協力し、自らの土地にある重要な資源をお金という武器を使って奪っていく搾取者と映るのであろう。
 
 パキスタン政府は2017年6月、このように中国権益への攻撃が相次ぐことから、中国人の保護を目的に治安部隊1万5000人を投入することを決定するなど、一帯一路構想の成功に躍起になっているようにも見えるが、負の連鎖は今年も続きそうだ。中国も先月下旬、BLAの幹部が殺害されたことを評価し、パキスタンから手を引く姿勢はまったく見せていない。そして、このパキスタンのケースのように、相手国を借金漬けにする中国の一帯一路への反発や抵抗は、今後、ほかの地域・国でもさらに表面化することだろう。

Text by 和田大樹