単なる領土問題ではない、ロシアにとっての北方領土 見え隠れする米ロ対立

Надежда Голумбиевская / Wikimedia Commons

 北方領土、この言葉を聞いて「小学校や中学校の社会で勉強したな」と思い出す人も多いことだろう。周知のように、北方領土とは歯舞、色丹、国後、択捉を指し、日本がロシアに返還を求めている島々であるが、そこで生まれ育ったロシア人も多く、返還がスムーズに進まない問題である。おそらく、前文で言ったように、北方領土とは「領土問題」、これが殆どの日本人の認識であろう。しかし、ロシアの認識は日本とは一致しない。多くの日本人はそれを領土問題と思うが、ロシアにとっては単なる領土問題ではない現実がある。

◆シンガポールでの安倍・プーチン会談
 安倍首相は11月中旬、シンガポールでプーチン大統領と会談した。会談では、安倍首相が来年明けにロシアを訪問すること、また、1956年の日ソ共同宣言に基づいて、平和条約の締結、北方領土の解決に向けて交渉を加速化させることが合意された。

                                                                                                                 

 だが、その翌日、ロシアの本音を我々は聞くこととなった。記者団から北方領土について改めて質問されると、プーチン大統領は、「日ソ共同宣言には平和条約の締結後、歯舞・色丹の2島を日本側に引き渡す文言が明記されているが、何を根拠に、またどちらの主権になるかなどは書かれていない。よって今後さらなる議論が必要だ」との認識を示した。

Text by 和田大樹

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