ロシア、極超音速新兵器「アバンガルド」配備へ プーチン氏「迎撃は不可能」
◆米軍のミサイル防衛網でも撃ち落とせない?
その「ジルコン」の詳細は不明だが、インドと共同開発した「ブラモスII」超音速ミサイルの国内版だとされる。「ブラモスII」は、核兵器の拡散を抑制する国際合意「ミサイル技術管理レジーム」(MTCR)が輸出用ミサイルに課す制約に合わせ、射程が300キロに抑えられているが、MTCRの制約を受けない国内向けの「ジルコン」は、それ以上の射程を持つ可能性が高い。既存のフリゲート艦や原子力潜水艦から垂直に発射されるよう設計されており、ミサイル巡洋艦アドミラル・ナヒモフとピョートル・ヴェリーキイも、「ジルコン」を各10発ずつ搭載すべく改修される予定だという(米技術誌ポピュラー・メカニクス)。
「ジルコン」が真にアメリカの脅威だと認識されているのは、「対艦ミサイル」と銘打ちながらも、洋上の艦船だけでなく、地上目標も攻撃可能だと見られるからだ。当然、核弾頭の搭載も可能と見られるが、爆薬を何も搭載しなくても、物体が超音速で衝突するだけでも甚大な被害が生じる。そして、「ジルコン」も「アバンガルド」同様、迎撃は非常に困難だという見方が強い。
「(ジルコンが)喧伝されている通りの働きを見せれば、アメリカの防衛網を突破して船を沈める可能性が高い。アメリカ海軍は、SM-3弾道弾迎撃ミサイルからSM-6艦対空ミサイルまで様々な防衛網を持っているが、それぞれ特定の脅威に対して最適化されている。SM-3は、一定のスピードで近づく弾道ミサイルを宇宙との境界で迎え撃つが、それはジルコンの想定飛行コースのずっと上空だ。SM-6は短距離弾道ミサイル、巡航ミサイル、対艦ミサイル、航空機を撃ち落とすことができるが、秒速1.7マイルで移動する物体を撃ち落とせるかどうかは分からない」(「ポピュラー・メカニクス」)