「いずも空母化」は第一ステップ? 5隻に向かう中国、「ゆるやかなアプローチ」で追う日本
◆「空母いずも」は脅威か否か、中国世論も反応
ハードウエア的な改修以外にも、パイロットやクルーの訓練、発艦方法の検討など、多くの時間と予算が必要になる。そのため、中国の軍事評論家のなかには、いずも空母化計画がただちに中国の脅威になると考えるのは時期尚早だという意見もある。また、旧ソ連の空母を改造した中国の「遼寧」は満載排水量6万7500トンで、単純な大きさの比較では2万6000トンの「いずも」を大きく上回っているため、仮に日本の計画が実現しても大きな脅威にはならないという楽観論もある(香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト=SCMP)。
中国では、3隻目の空母建設が発表されたばかりのタイミングでもあり、日本の動きも見据えながら、インターネット掲示板を中心に「中国には何隻の空母が必要か?」という議論が巻き起こっているという。中国共産党機関紙・人民日報の英語版グローバル・タイムズは、この問いに対し、「5隻」だという国内識者の見解を報じている。それによれば、中国は、2025年ごろに2隻の原子力空母を完成させ、通常型の3隻と合わせて運用する方針だという。
ナショナル・インタレストは、2隻の「いずも」だけでは、その中国に対抗するのは難しいが、将来的に「いずも」からステップアップし、日本が英国海軍の「クイーン・エリザベス」と同等の6万5000トン級の空母を保有するのは技術的に十分可能だとしている。同誌は、それらの日本製大型空母を便宜的に帝国海軍時代の「翔鶴」「瑞鶴」と表現。それらは旧ソ連の時代遅れの技術に倣った中国の「遼寧」と違い、日本独自の、そしてアメリカや西側の先進技術を満載した近代空母になるだろうとしている。米空母の協力や「いずも」の経験を生かし、乗員の訓練や運用試験を重ねられるのも中国に対するアドバンテージだとしている。
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