「一帯一路」への国際的批判に中国識者が反論「中国は今学習している」

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◆援助は必要 中国識者、批判に反論
 一方中国の識者は、援助自体は非常に意義あるものだと主張する。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙に寄稿したAndy Xie氏は、そもそも世界銀行などの西側の援助がインフラ投資から貧困の軽減にシフトしたことが問題だと述べる。大型の資本形成なしではどんな国でも貧困から這い上がれず、途上国には巨大な海外からの援助が必要だというのが同氏の考えだ。

 さらに同氏の見るところでは、西側諸国は援助のしかたを間違えたため、欧州には中東や北アフリカの難民が流入し、アメリカにも中南米移民が殺到。これがもとで政治の不安定化、極右の台頭を招いたのであり、西側は国境を安定化させる「一帯一路」のプロジェクトに感謝すべきだと訴えている。

 援助国に負債の罠を仕掛けている、という見方についても同氏は反論している。主権国家はほとんど対外債務を完済することはないこと、最も厳しい罰は国際資本市場から数年間締め出されるということを、批判者は忘れているのではないかと指摘。それでもその間ずっと、有形資産は借り手のためになっているとする。仮に借り手が資産のコントロールを中国に明け渡すことを選んだとしても、いくらかは借り手も恩恵を受けるし、資産が生産的であるなら、地元経済を押し上げる。結局、土地の上に何かを作ることは、何もないよりいいと主張している。

 イーストアジア・フォーラムに寄稿した上海国際問題研究院のYe Yu氏は、「一帯一路」への多くの非難は、地政学的、経済的目的からのものであり、必ずしも論理的一貫性があるとは言えないと述べる。ビジネスと政治の責任を混同しているし、誇張や誤解の場合もあるとする。中国企業が融資したインフラは質が悪いとよく言われるが、実際は世界最先端の基準に合致したものも多い。またグリーンファイナンス(環境問題解決に関する投資)などは、世界のお手本と見られているほどだと説明している。

                                                                                                                 

◆批判を糧に成長? 今後は主要プレーヤーに
 もっとも、両氏ともやり方を変えなければならないという指摘には同意している。Yu氏は、中国政府も企業もいまだ学習中だとし、批判を受けたことが改善につながると見ている。中国は「国際基準」を理解するための研究に多くの投資をしているし、通信機器大手のZTEがイランや北朝鮮への禁輸措置違反で制裁を受けたことにより、政治、環境、社会、財政的リスクにも敏感になっていると述べる。また、他国のインフラ整備においても、二国間ではなく、欧州や日本を加えた三国間協力や国際機関を巻き込んだ多国間協力を進めようとしており、透明性を高める努力もしていると指摘している。

 Xie氏も、中国の海外援助は単発型、または政治的目的を促進するためになりがちで、援助国に厳しい条件を課すことなく進められてしまうと述べる。より一貫性のあるアメとムチ的アプローチをするためには、西側との協力が必要だとするが、同時に西側も中国がゲームにおける中心的プレーヤーであるべきことを認識すべきだとしている。

 Yu氏は、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への見方も、徐々に疑惑から受け入れへと変わってきたと述べる。格付け機関からも最高ランクの評価を2017年には受けており、中国には自信を持つ理由があるとしている。そしてこのまま中国がその海外投資のやり方を改善させていけば、「一帯一路」への認識もより好ましいものに変わるのではないかとしている。

Text by 山川 真智子