米にとって最悪のタイミングの日韓の亀裂 「反日」で北とタッグのねじれ現象
◆日本側の批判を取り上げるメディアも
香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、最近の文政権の反日攻勢に対する日本の保守派の識者の代表的な意見として、国際政治学者の島田洋一福井県立大学教授の見解を掲載している。同紙は、徴用工問題の他にも、「韓国国会議員団による竹島上陸」「自衛艦旗(旭日旗)の合同演習からの締め出し」「慰安婦問題の証拠を探す研究機関の設立と新たな慰安婦像の建立」「慰安婦財団解散」といった韓国の日本攻撃が矢継ぎ早に展開されている現状を解説したうえで、島田氏に見解を聞いている。
島田氏は、文政権の北への急接近により、結果的に日本とアメリカだけが経済制裁を通じたハード路線に取り残されることとなったと現状を分析。その上で、「現実には北朝鮮が世界に与える脅威を削ぐために協力しければならない時に、韓国は歴史問題を取り上げることで日本を踏み台にして北との関係を固めようとしている」と非難した。
直近の10月22日に竹島に上陸したのは、韓国国会の教育委員会に所属する10人ほどの議員団だが、島田氏は「パフォーマンスに過ぎない。彼らは韓国の政界では無名だ」と一蹴。韓国の政治家は、事実と向き合うことよりも、「竹島に行って安い政治的得点を得ることに関心があるようだ」とSCMPに語っている。同氏は、文政権はもはや完全に北朝鮮との融和を望んでおり、「それによって日本と世界は危機に晒される」と警告している。
◆アメリカは傍観するも事態の早期解決を望む
アメリカは、日韓双方との利害関係を天秤にかけて、両国の争いに直接関与するのを避ける方針のようだ。「北朝鮮との一か八かの外交を展開しなければならない時期とあっては、なおさらだ」とニューズウィーク誌は書く。
外交誌ディプロマットもこの意見に同調する。「アメリカの視点では、特に北朝鮮の核開発計画に対する国際的な交渉の重要な時期にあって、東アジアの重要な同盟国同士の継続的な緊張は不必要な混乱だ」と、日韓の対立はアメリカにとっては迷惑なだけだという論調だ。「日本は国際司法裁判所による解決のドアを開けているが、手続きのハードルに直面するかもしれない。一つの選択肢は、1965年の二国間合意が定める紛争の解決方法を進めることだ」と、双方の冷静な対応を提案するものの、感情論が優先する韓国世論やそれに乗る文政権をそうしたテーブルにつかせるのは難しそうだ。
「ソウルと東京が、この先数週間でこの争いを解決する創造的な道を見つけられるか、注目される」とディプロマット誌が書くように、ただ傍観するしかないが、日韓の二国間で早急に不仲を解決してほしいというのがアメリカの本音のようだ。
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