トランプ氏がフランス口撃を連発 「MAKE FRANCE GREAT AGAIN!」

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◆トランプ氏の皮肉に、フランス側は多くを語らず
 その後トランプ氏は、フランスはアメリカ産ワインに高い関税をかけて不平等、と貿易面での不満を挟んだ後、さらなるマクロン批判を展開。フランスでの記念式典のスピーチでマクロン氏は、ナショナリズムを受け入れて自らの利益を優先する者を批判し、悪魔が再浮上していると述べていた。これにムッとしたのかトランプ氏は、マクロン氏の支持率が低下したことやフランスの失業率の高さに言及し、「別の話題に話をそらそうとしているだけだ。ところで、フランスほどナショナリストな国はない。誇り高い人々だ。それは当然だけれど」と述べた後、自らの「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」をもじって「MAKE FRANCE GREAT AGAIN!」と、大文字であざけるようにツイートした。

 これに対しガーディアン紙は、マクロン氏の支持率は低下しているが、同氏の中道政党はいまだにフランス議会の多数派で、すべての法案を容易に可決させることができると解説している。

 マクロン氏のアドバイザーは、報道各社への背景説明の際に、トランプ氏がアメリカの国内向けに発したツイートに、フランス大統領が返答する必要はないと述べた。またトランプ氏が欧州の歴史に興味を持っているのは良いことだとし、米仏関係はうまく行っているとも述べ、大人の対応を見せた(NPR)。

◆意外なトランプ効果? 最大の勝者は独仏
 NPRは、トランプ氏の失礼なツイートはフランス国民の怒りを買い、訪仏はニュースメディアを爆発させたというが、それよりも怒ったのはほかでもないアメリカ人だったとしている。実はトランプ氏は、雨天を理由に米兵墓地の訪問を中止していた。雨は小雨だったため、なぜ行かなかったのかという批判はアメリカ国内のほうが大きかったということだ。ちなみにトランプ氏は国のために戦った兵士たちを讃えるツイートだけはしっかり投稿していた。

 また、今回の100周年式典でスポットライトが当たったのは、マクロン氏とドイツのメルケル首相だったとNPRは述べ、かつての敵同士が仲良く肩を並べる姿こそ、欧州統一のシンボルと捉えられたとしている。さらにトランプ氏のツイートで独仏の友情が強まり、今までやや後ろ向きだったメルケル首相が欧州軍の創設に支持を示したことから、思わぬトランプ効果があったとみている。

◆トランプ氏怒りの理由は? 米誌のオチ付き予想
 バニティ・フェア誌は、今回トランプ氏がマクロン氏の発言に噛みついた理由を推測している。同誌によれば、欧州諸国は2018年度だけで374億ドル(約4.2兆円)の武器をアメリカから購入しており、地域としては中東を抑えて最大の顧客となっている。マクロン氏はCNNのインタビューで、防衛予算が増えれば欧州は域内から武器を調達すべきと話したとされている。もしも「欧州軍」創設ということにでもなれば、アメリカの武器輸出が打撃を受けるとトランプ氏は思い、マクロン氏に意地悪ツイートをぶつけたと言うのが同誌の見方だ。

 フランスの防衛産業は欧州でも最大規模ということ。トランプ氏の心配が現実のものになれば、これが本当の「Make France great again」だと同誌は述べている。

Text by 山川 真智子