ロシアの脅威、米軍基地を切望するポーランド 20億ドル拠出、「フォート・トランプ」で直訴

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◆誘致に数々の障害 実現は困難?
 ポリティコは、恒久的米軍基地建設というポーランドの提案は、NATOにとっては複雑な問題だと解説する。同盟国のなかには、このアイデア自体がロシアを挑発しかねないという意見があるという。さらに、ロシアとの緊張を和らげることを意図した1997年のNATO・ロシア基本議定書に違反する可能性も指摘されている。議定書には、中東欧などの新規加盟国にNATOの実質的戦闘部隊を常駐させないと記されているからだ。もっともポーランドは、最近のウクライナへの軍事侵攻などを見れば、アメリカはこの条項を「未決」と見なすべきだと主張しているという。

 米国防省や防衛タカ派の議員たちからは、ポーランドが20億ドル支払ったとしても、長期的に見れば基地を維持するための費用のほんの一部にしかならないという声も出ている。また、現代のハイブリッドで不規則な脅威に対応する上で、基地を置く戦略的価値にも疑問符が付くとされている(ポリティコ)。

◆民主主義はどこへ 怖いのはロシアより独裁化
 ドゥダ大統領の姿勢について一部から不安の声も上がっている。2015年に就任してからドゥダ大統領が進めてきた政策が非民主的であり、EUと衝突するリスクがあるというものだ。(ビジネス・インサイダー誌)。

 ポーランド国内からも同様の意見が出ている。ワシントン・ポスト紙に寄稿したポーランドの日刊紙、Gazeta Wyborczaの編集者、Bartosz Wielinski氏は、政権与党、「法と正義」が権力を握ってから、共産主義崩壊後、地域のお手本となってきた同国の民主主義が深刻な危機にあると述べる。同党が、司法権の独立を脅かすような制度改正を行い、政府に反対するものを起訴し、野党を監視し、独立系メディアを排除しようとしていると訴えている。

 法の支配に反するとEUから指摘されても内政干渉だと耳を貸さない政権に、いまも強い影響力を持つのはトランプ政権とアメリカだけだとWielinski氏は断じる。ポーランドの民主主義が弱体化し独裁化のコースをたどるなら、結果として近隣の東欧諸国もグレーゾーンに取り残され、ロシアの影響力を避けられなくなる。よってこの機会を利用し、トランプ大統領がポーランドの民主主義を救うために一役買うべきだと同氏は主張している。

Text by 山川 真智子