プーチン大統領はなぜいつも遅刻するのか? 今回は2時間半待たされた安倍首相
◆相手によって遅刻の度合いが異なる?
プーチン大統領の遅刻の度合いは、相手への敬意に左右されると見る識者もいる。第2次世界大戦の敗戦国である日本とドイツ、ウクライナなどの旧ソ連諸国が上位に名を連ねているのは偶然だろうか? メルケル首相、ティモシェンコ元首相と、2人の女性宰相が長時間待たされているのも気になる。
英国王立防衛安全保障研究所のロシア専門家、ジョナサン・イーアル氏は、プーチン大統領の遅れ具合は「要するに、彼がどれほどその人に敬意を抱き、会談に期待しているのかを測る指標だ」と語る(ビジネス・インサイダー誌)。安倍首相らを2、3時間待たせたのに対し、エリザベス女王やローマ教皇との会談にはそれほど遅刻しなかったのがその根拠だ。
2003年にエリザベス女王を14分待たせた“事件”は、当時英メディアで大きく取り上げられ、プーチン大統領の遅刻魔ぶりが世界に知られるきっかけとなった。2015年のフランシス・ローマ教皇とのバチカンでの会談には、50分遅刻。その際には、「前のミラノでの会合が予定よりも長引き、さらに我々の車がミラノとローマの道路を抜けるのに非常に時間がかかってしまった。もちろん、その間バチカンには連絡を取り続け、遅れる旨説明した」と、珍しく遅刻の言い訳を発表した(ガーディアン紙)。
◆初デートも遅刻
要人を待たせることにより、自身の権威を高める「政治的なパワープレイ」だという指摘も多い。トランプ大統領もマイペースで知られるが、ヘルシンキでの首脳会談ではそのトランプ氏に待ちぼうけを食らわせたことで、プーチン氏はアメリカ大統領を「上回った」とビジネス・インサイダー誌は表現する。俗に言うマウンティング行為というわけだ。記者会見やテレビのインタビューには遅れないという指摘もあり、それが首脳会談ではあえて遅刻しているという見方の根拠の一つとなっている。だが、一方で、クレムリン詰めの記者たちは記者会見開始まで数時間待つのが普通だという指摘もある。
より好意的な見方もある。ロシア紙モスコフスキー・コムソモーレツは、「重要な会談の前に、彼はたいてい資料をダブルチェックして課題を掘り下げる。その結果、スケジュールが遅れることになる」という匿名の側近の証言を取り上げている。
しかし、プーチン氏に最も近いところにいた人物の証言が真実に近いかも知れない。ガーディアン紙は、元妻のリュドミラ・プーチナさんの「初デート」のほろ苦い思い出を取り上げている。「私は遅刻したことがなかったけれど、ウラジミールはいつもそうでした。1時間半は普通。地下鉄の駅で待ちぼうけだったことをよく覚えています。最初の15分はOK、30分もまあ良かったわ。でも、1時間経っても彼が現れないと涙が溢れてきました」
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