7人に1人が死亡 地中海渡る移民・難民は減るも、死亡率は上昇 その背景とは
リビアの沿岸警備隊は、移民を乗せた船の取り締まりを強化している。そのため、人身売買業者が人を乗せたコンテナをフェリーでヨーロッパに向けて移送する際により大きな危険を冒すようになり、地中海を航行する乗船者の死亡率が急増していると国連難民機関が発表した。
これは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がヨーロッパへ向かう移民に関して行った最新の報告書にある重要な発見の1つだ。3日の早朝、「絶望の旅」というタイトルで発表された報告書では、渡航事例および死者の数は近年に比べ急減しているものの、このような航海は危険を冒して渡航する人たちにとって、これまでよりさらに致命的な旅となる確率を秘めている。
報告書によると、昨年の渡航中の死亡者数は2,276人だった。これは42人のうち1名が死亡したことになる。
今年の死亡者数は1,095人であり、18人に1人が死亡している。今年の6月だけを見ると、死亡者の比率は7人に1人という高率に達する。
地中海の中央を航行するルートでは今年、これまでに10件の事故がそれぞれ個別に発生し、50人以上が死亡した。その大半はリビアを出発後に死亡した。UNHCRは、これらの事故のうち7件は6月以降に発生したものであると述べた。
UNHCRの地中海中央部を管轄するビンセント・クシュテル特使は「海上交通の危険性が致命的に高まった理由は、リビアの沿岸警備隊による監視が強化されたため、人身売買業者がより高い危険を冒すようになったからだ」と語り、さらに同氏は、「悪徳業者たちはコストを減らそうとしている。売買の対象となる人々を倉庫の中に長い間監禁すればするほど、より多くの経費がかかるからだ」と述べた。
リビアの当局者は昨年の8月から今年の7月までの間に18,400人の渡航者を阻止もしくは救助した。この人数は2016年や2017年の同時期に比べて38%の増加である。また、リビアからヨーロッパへ海路で向かう人の数は、それら同時期に比べて82%の急落を示し、さらに最近では30,800人にまで減少した。
UNHCRは、最近になって増加している懸念は、陸路でリビアを目指す人々が途中で死亡したり、移動中に遭難するなどして拘束され、超満員の汚い移民拘留施設へ抑留されていることだと述べた。多くの人々が海路でヨーロッパへ渡航するのに失敗した後、移民拘留施設へ送り返されている。
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