マレーシア、中国との鉄道など「一帯一路」事業を中止 他の被援助国にも影響か

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 中国を訪れていたマレーシアのマハティール首相は、記者発表会の席で、中国の「一帯一路」構想に関連した大型インフラプロジェクトを延期または中止すると述べた。同首相は、前政権から引き継いだ巨額の債務削減が先だとし、これらのプロジェクトを進める余裕はないと説明。中国もその考えを理解してくれたとしている。現在多くの国が中国の援助で大規模プロジェクトを進めているが、様々な問題も生じている。マレーシアの決断は、各国が中国との付き合い方を見直すきっかけになりそうだ。

◆前任者が残した巨大プロジェクト 続ける余裕はない
 マハティール首相が凍結を発表したプロジェクトは、予算200億ドル(約2.2兆円)の鉄道建設と、予算20億ドル(約2200億円)の2本のパイプライン計画で、どちらも前政権時代に決まったものだ。ナジブ前首相は中国との関係強化に積極的で、多額の融資を中国から受けており、マレーシアは「一帯一路」関係のプロジェクトの上位投資先の一つだった。

 しかし政府系ファンド「1MDB」を巡る汚職疑惑がもとで、ナジブ氏は5月の総選挙に敗北し、93才の元首相、マハティール氏の首相再登板という結果になった。マハティール首相は、2500億ドル(約27.5兆円)に上るマレーシアの負債を深刻に捉えており、今回の訪中で、まず債務削減が先だという考えを中国側に示したとされる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によれば、中国側の公式な報告ではこの件は言及されていないが、中国の外交部の報道官は、両国の意見の違いを友好的に解決したいと述べたと言う。

Text by 山川 真智子