日本のプルトニウム、米らが懸念する理由 中朝の“口実”に利用される?

Koji Sasahara / AP Photo

 日本が保有するプルトニウムに対し、国際社会の懸念が高まっている。日本は今、世界の保有量の約10分の1に当たる47トン(原爆6千発相当)のプルトニウムを原発の燃料用に保有している。これが拡散してテロリストの手に渡ったり、テロの標的になったり、自然災害により不測の事態につながる恐れがあるという指摘がアメリカなどから上がっているのだ。中には、北朝鮮が「日本も大量に持っているではないか」と、核放棄撤回の口実にするのではないかという識者もいる。

◆米側に「条約破棄」のアドバンテージ
 日本のプルトニウムは、再処理によって原発の使用済み核燃料から取り出され、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)に加工されて再び原発の燃料となる。資源に乏しい日本は、このリサイクルによって長年電力をまかなってきた。

 国際社会では、核兵器の原料にもなるプルトニウムの製造は原則禁止されている。非核保有国では、日本だけがプルトニウムの製造を許されており、その根拠は、1988年にアメリカとの間で交わされた日米原子力協定だ。これが今月で期限を迎え、17日に自動延長されたが、これを機会に日本の原子力政策の見直しを求める声がアメリカを中心に高まっている。

 自動延長後の日米原子力協定には、6ヶ月前までに日米いずれかが通告すれば、一方的に協定を破棄できる項目が盛り込まれた。英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、これを「アメリカは日本の原子力政策を変えるチャンスを得た」と表現。協定の破棄を盾に、アメリカが日本にプルトニウム貯蔵量の削減を迫る構図ができ上がったというわけだ。河野太郎外相はこれを受け、状況は「不安定になった」と記者団に述べている。

Text by 内村 浩介