ダイヤモンド採掘国のシエラレオネの現地住民が豊かになれない理由とは
採掘者と「支援者」は非常に不公平な関係にあり、シエラレオネのダイヤモンド採掘が、社会的に大きな悪影響を与える懸念が生じている。それは、「借金によって拘束するシステムと現代の奴隷制度」とも表現される。現地のある専門家は、私に「誰もが収益を最大化するためにビジネスをしている。そのために、下にいるものが抑えつけられている」と語った。
一方で、ダイヤモンド人力採掘業はいまだに地方の地域経済発展を推進する上で、重要な役割を担っている。他の経済活動にとって価値ある開業用資本を提供し、小規模農業を潤すことで、何百何千という人々を支えているのだ。
しかし全般的に、シエラレオネの豊富な天然資源(金、鉄鉱石、ボーキサイト、ルチルなど)によって国民の生活環境が改善されているか、というと、そうではない。むしろ、真実はその逆だ。
国連開発計画の人間開発指数では、シエラレオネは最下位に位置している。同国は世界最貧国の1つで、社会開発でも大きく後れている。
長年にわたる内戦で荒廃し、最近ではエボラ出血熱との闘いに見舞われたシエラレオネでは、政治腐敗や収益管理不行き届き、そして不運も相まって経済開発が頓挫している。
シエラレオネの発展が滞っていることと、ダイヤモンドには明確な関係性がある。小さく輸送しやすく、非常に価値の高いダイヤモンドは、1990年代に起きた悲惨な内戦の大きな資金源となってしまった。そして、同国のダイヤモンド産業の非公式な体質により、地元のコミュニティから関連する経済的利益が搾取されやすい状況ができているのだ。
ダイヤモンド採掘は、シエラレオネで最も収益性の高い輸出産業の1つで、生産量は年間2500万米ドル相当にのぼる。しかし、ガバナンスが脆弱で腐敗が広がっていることから、採掘地域にはその恩恵がほとんど還元されないのが現状だ。