いずも空母化、F-35B導入検討 「戦後最大の危機」に備える日本
◆加速度的に増す中国の脅威
ロイターは、日本が現在直面する軍事的脅威は直接的には北朝鮮のミサイルかもしれないが、中長期的な視点に立てば、急速に軍事力を強化している中国こそが最大の仮想敵国だとしている。中国は既にサンゴ礁の軍事基地化などにより南シナ海を手中にしており、「次は東シナ海だ」というのが、日米の防衛筋の共通した見方だ。そのため、「日本の軍事専門家たちは今、中国の軍事的プレゼンスにより、日本列島から太平洋へのアクセスが危機に陥りつつあると懸念している」とロイターは書く。
近年の中国の軍事費増強は目を見張るものがあり、今年は日本の3倍、アメリカの3分の1に当たる1750億ドルの軍事費を計上している。長期的な計画で空母やステルス戦闘機の増強など装備の近代化を推し進め、「2050年までにワールドクラスの戦闘部隊を築き上げようとしている」(ロイター)という。それらの兵器の最重要ターゲットの一つが尖閣諸島などの沖縄周辺海域で、日本と競合するシーレーンを押さえることは「グローバル・スーパーパワーになるための重要なピースの一つだ」とロイターは指摘する。
対する日本の防衛予算は過去5年間、約1%ずつの増加にとどまる。ロイターの取材に答えたある日本政府高官によれば、次の5ヶ年も同程度の水準となる見込みだという。少子高齢化に伴う健康福祉予算が最優先で、防衛予算に回す余裕が少ないというのが現状だ。米軍もアジア太平洋地域で縮小傾向にあり、相対的にも絶対的にも、中国のパワーが加速度的に増している。中谷元防衛相の言う「戦後最大の危機的情勢」は、まさにこの中国の脅威を指している。
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